サッカー レフェリー

コラム

【第1節】VAR解体新書 ~VARは機械じゃない!?~

今回はJリーグにも導入され、度々議論に上がるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)について解説していきます。

VARって機械じゃないの?

結構Twitterで、

『VAR発動しろ!』

『VAR使え!』

なんて言葉を見ることがあります。

実はこれ文章として合っていません。

VAR
別の場所で映像を見ながらフィールドの審判員をサポートする審判員。

JFA 日本サッカー協会 公式サイト

上記のように、VARはビデオアシスタントレフェリーと言って、言葉の通り何台ものカメラのビデオを見ながら常にチェックしているレフェリーのことを指します。

機械のことでは無く、モニター等の『機械を使うの審判員を指しているので、『発動』、『使う』は言葉として合っていないのです!

Wikimedia Commons

そんなVARについて解説してきます!

VARの仕事内容

VARは基本的にモニターで映像を監視しています。

何を見ているかというと、主審の判断が間違っていないかです。ただ、あくまで補佐役であって基本的な決定権は主審にあります。

  • 警告・退場者(カード提示者間違ってないか)
  • ペナルティエリア内のファール
  • 退場に相当するラフプレー
  • オフサイドの有無
  • ハンドの有無    etc.

等、例を挙げると実は切りが無いのですが、基準としては得点・退場に直結するジャッジがフィールドの審判団で正しく行われているかをチェックしているのです。

そして、VARがモニターで怪しいと思った事象に対しては、主審に助言をしてOFR(オンフィールドレビュー)と言って、ピッチ横のモニターで主審にチェックしてもらう役割となっています。名前の通りビデオを見てダブルチェックしてくれる人ですね。

OFRしている場面 Wikimedia Commons

ここまではなんとなく理解している人も多いかと思います。

問題はここからです...!

VARの助言

そして問題を言う前に、1つ抑えてその後の話を読んでください。

それは、『VARと主審は試合中常に連絡を取り合っている。』ということです。

さあ問題とは、先ほど怪しいと思った事象をVARは助言すると言いましたが、助言には一つ条件があって、それは『映像から明らかである事象にしか主審に助言を下せない』のです。

。。。

怪しいの助言するんじゃないの?明らかじゃないとダメなの?

ここでちょっとごちゃっとなりますね(笑)

どういうことか、例を挙げて説明します。

例えば、ペナルティエリア内でボールを保持した攻撃側が守備側に足をかけられたような形で倒れたとします。

その際、VARは倒れたシーンの検証をします。要するに守備側との接触の有無ですね。

  • 接触があった(映像に接触点が映ってた)場合→VARは主審に接触があったので、助言をします『先ほどの転倒シーン、接触がありました。』と。そして、OFRを実施して主審がファールに該当する接触かをピッチで観たものと、映像とを合わせて総合的に判断します。
  • 接触シーンが映像で判断できない(接触点が隠れていて見えない)→VARは主審に助言しない。OFRも促さない。『映像からは接触を判断できない』といったやり取りをおそらくしているでしょう。

理系の人なら分かると思いますが、結果に憶測(当たってるぽくね?)をいれてはいけないのです!(予想は考察に書かないといけないんですよね。データ命!(笑))

もしこれで転倒してたとすると、接触している瞬間が見えないですね。なのでOFRは行えません。Phillip KoflerによるPixabayからの画像

サッカー経験者なら観ていてあると思いますが、『あれ絶対当たらないとあんな倒れ方しないでしょ!』と思うようなシーンでも、映像にその部分がはっきりと映っていなければ、VARは助言できないということなんです!

VARの怪しいとは、『接触してるけど、ファールとる程度かな?』という怪しさなんですね!

海外なんかでは、オフサイドを線引いて判断して主審にOFRさせずに判断しますよね。

あれは、映像で明らかであると判断できて尚且つ、怪しい部分も無い(ライン越えてるかどうかだけ!)からOFRしないのです!本来であれば!(笑)

ただ、線の引き方に視聴者が疑問を持つからよく話題になってしまうのです(あの引き方好きじゃない)。誰もが納得するいい改善作見つかるといいですが。。。

VARの助言範囲

どうですか…?ここまで理解いただけたでしょうか?

理解いただけたら、もうラストです!

難しい場合にはコメント頂ければ、それに応じて第二弾考えますのでコメントください!

そんなVARですが、試合を観ていてわかる通り結構試合中断しますよね。細かいところまでVARが介入すると切りが無いし、試合もぐだって長くなってしまいます。

なので、VARが介入できる範囲が決まっています。

  • 決定機(ファール・ハンド等含む)
  • オフサイド
  • 退場
  • ペナルティエリア内のファール

この範囲のみ、VARは介入できることになっています。要するに試合に大きく影響が出るシーンですね。

VARはこういったシーンが無いかを常にチェックしているわけです。

逆にこういったシーン以外は介入できないので、『VAR介入しないの?』と思ったときは、介入する必要が無い、若しくは介入できない場面だと判断したと思ってください。

イエローの有無なんかも介入出来ないので。(二枚目のイエローも退場にはなりますが、ファールとしてはイエローの内容なので介入できないのです。)

最後に

このような感じでVARの役割は定められていますが、国によって使い方が少し違ったり(プレミアなんかは試合スピード意識して、VARの決定権が増えてます。ルールの解釈の仕方ですね)、映像を使う、問題のシーンがよく見えるということで、ピッチの審判団よりプレッシャーが高い役割です。実際にやられた方は『生きた心地がしない』なんて仰る方もいるくらい大変な役割であり、まだまだ日が浅いので問題も色々出てくることでしょう。

サポーターからすると試合の流れを左右されてしまう、ジャッジに疑問を持つこともあるでしょう。

ただ、そんなプレッシャーでジャッジしている事、いくら映像を観ても、いくらルール整備しても、ボディコンタクトがあるサッカーというスポーツでは物理演算でも導入しなければ、完璧な結果は本来ピッチの当事者の選手にしか分からず、中には演技をする選手もいるグレーゾーンがたくさんあるのがサッカーという競技であることを心の片隅にでも置いておいてもらえると良いかなと思っています。

また、このようなルールの中でジャッジしている事を踏まえたTwitter等でのコメントが増えるとより、VAR制度が成熟していくと思いますので皆さんで盛り上げていきましょう!!

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